2017年9月30日土曜日

単著論文がSODAに通りました

The Diameter of Dense Random Regular Graphs
という単著の論文がSODA18に採択されました.

SODAは Symposium on Discrete Algorithms という理論的な国際会議で, コンピュータ科学において「トップカンファレンス」と呼ばれるもので, なかなか通すのが難しいと言われています. 今年のSODA17には通した日本人が1,2人しかいなかったと記憶しています. 今年はバルセロナでの開催でしたが, 来年のSODAはニューオリンズです. 他にもFOCS, STOCなどが有名です.

通した論文の内容はランダム正則グラフの直径についてのものです. ランダム正則グラフは次数が定数の場合は直径が漸近的(頂点数→無限)に"最適" (i.e. Moore Boundから得られる直径の理論下界との比が1に収束)で, HPCのネットワークトポロジーとしても有用であることが知られています. しかし次数が頂点数とともに増加する場合はその直径がどうなるかはexplicitには知られていませんでした. (実際にはMoore Bound と最近発表された定理を拾ってくるとだいたいのケースでは上界と下界が得られます). 今回の論文はそのようなランダム正則グラフの直径について, 次数dが $d=\beta \cdot n^{\alpha}$ ($n$は頂点数) の場合だとその直径が $\lfloor \alpha^{-1} \rfloor + 1$ となることを証明しました (研究の本質的な点は, 上記の次数を持つランダム正則グラフに対してMoore Boundから得られる下界と上述の定理から得られる上界の間のギャップに関する問題を解決したという点にあります)

0 件のコメント:

コメントを投稿

Håstadのスイッチング補題

回路計算量の理論における重要な結果の一つである Håstadのスイッチング補題 を紹介します. 簡潔にいうとこの補題は, 99%の変数をランダムに固定することによってDNFの決定木が小さくなることを主張する結果です. 応用としてparity関数に対する$\mathrm{AC}^0...